2018年05月24日 修理・分解・工具

「自分で修理」は高くつく!?リスクとコストを考える

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「自分で修理するので人件費が浮く」と考えたいDIY。メリットだけでなくリスク(危険度)も見てみましょう。

修理代とDIYへの誘惑

本体購入に比べると安いとは言え、ちょっとしたパーティの会費にも相当する修理代を何とか安くおさえたいものです。
そこで、自分で修理するDIY(Do It Yourself)案も出てきます。
パーツ代だけで済むので、一見、安く済みそうです。
パーツだけでなく、工具、パーツ、説明書のキットで販売しているところもあります。
さらに! 制限付きですが、うまく修理できなかった時に有料で修理するというフォロー付きパーツ販売まで登場しました。
まるで「自分で修理しなさい~♪、DIYだよ~」っと誘っているようです。
提供側からするとビジネスとしてやっているので次々と魅力的な提案をしてきます。
提案を採用するか否かは受ける消費者が判断する必要があり、メリットに加えてデメリットやリスクも知っておいたほうが良いでしょう。

リスクと自己責任

リスクとは一言で言うと「うまくいかない可能性」と言うことです。
美味しい話にはリスクがあると言うのはよく聞く言葉です。
iPhone修理を仕事としてやっている方や数ヶ月に1回はフロントパネルを破損していて、同じモデルを何回も修理している。。。という特別な方を除いてほとんどの方がiPhoneを初めて分解することになるのだと思います。
たとえ過去にiPhoneの分解をしたことがあっても、iPhoneは毎年進化しています。外観だけでなく内部も進化します。
例えば、iPhone6sとiPhone7では本体外観にほとんど違いがありませんが、バッテリーや基盤を含めた部品やその配置は異なっています。
iFixit(https://www.ifixit.com/Device/iPhone)等のWEBサイトに内部構成や分解方法が紹介されてはいますが、二次元の写真で見るのと立体的な部品配置を見るのとではやはり違います。
分解して開けたら最後、Appleの保証ももちろんききませんし、完全に修理するかそのまま正確に元通り組み立て直すしかありません。
いわば数万円をかけた一つの博打であって、保証は誰も付けてくれないのです。
それが自己責任ということです。

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iPhoneを分解する時の注意

このリスクというのは何かを自分でするにあたって、とても大事なことですので、もう少し具体的に説明しましょう。
大きく分類すると、「物理的損傷・電気的損傷・取付け不備・パーツ紛失」になります。
それぞれについて説明をします。
<物理的損傷>
主に電子部品に対して修復不可能な物理的損傷を与えることです。
よくあるのがフレキの断線です。
フレキはフレキシブル・ケーブルの略でケーブルが紙テープのように平たくなっていて、基盤と基盤、基盤とパーツを結んでいる電気信号の通り道です。
iPhoneのフレキはとても薄いので、目で見えない些細な傷が付いただけで断線し、電源ONの状態にならないことさえあります。
また、引っ掻き傷によってフレキ内の隣接する銅線がショートしてしまうと、発火等につながることもあり非常に危険です。
次に注意を要するのがバッテリーです。
ガラケーのバッテリーのように交換前提で硬い容器で密閉されているわけではなく、少し柔らかめの金属で包まれた状態でiPhoneの中に配置されて粘着質のテープで固定されています。
取り外すときに力を加えると変形しますし、ドライバーやカッターナイフで容易に傷が付きます。
リチウムイオンバッテリーは非常に大きなエネルギーを非常に小さな容積に格納してありますので、外部圧力による変形や傷は発火や爆発の原因になる事があります。
<電気的損傷>
小学生の時に下敷きで髪の毛をこすって、吸い付ける芸をほとんどの人はした事があると思います。
それが静電気です。静電気は電子回路のような導体に触れると、短時間で電気エネルギーを限られた範囲に開放します。
結果として、電気的負荷に耐えられなかった電子部品は破壊されてしまいます。
それを防ぐために基板を触る前に、テーブルの鉄パイプ等の金属に触れて静電気を逃したりするわけです。
ところが、例えば作業中にトイレに行きたくなって、絨毯の上を歩いて戻ってきただけで、また電気が体にチャージされてしまいます。
その状態で電気を逃すのを忘れて基板に触ると、iPhoneはお陀仏です。
<取付け不備>
iPhoneは限界まで薄く作られていますので、内部のパーツもぎゅうぎゅう詰めになっています。
0.5mmでも取り付け位置が変わると、蓋が閉まらないとか、フレキを部品で挟んで切ってしまうということがあり得ます。
また、特にカメラは位置がずれると写真がボケたり撮れなかったりという不具合が発生し、iPhoneの長所である綺麗な写真ともサヨナラになります。
<パーツ紛失>
iPhoneの薄い筐体にはネジを始めとしたパーツもとても小さなものが使われています。
さらに場所によって微妙に大きさが異なります。
違う場所に違うパーツを入れ込むと、使っているうちに接合部が浮いてきたりという不具合が発生します。
特にiPhone7では防水のために内外気圧を調整する気圧ベントという小さな部品があります。
分解中にこの部品を失くしてしまうとと、iPhoneの中に水が侵入しやすくなってしまい、防水という特徴が失われてしまいます。
小さなパーツですが役割は大きいので、「大きな」注意が必要です。

脅すわけではないのですが、一部を見てきただけでもこれだけ注意を要する部分があるということです。
「車や飛行機の整備と同じ」とまでは言いませんが、ほとんど毎日このような分解修理に関わっていて、パーツ配置がミリ単位で頭の中に入っている人に任せるのが良いのかもしれませんね。

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トータルで本当に安い?

次に気になる費用を見て見ましょう。
iPhone修理には工具代、部品代に加えて工賃(人件費)が入ります。
自分でするから工賃ゼロで考えているかもしれませんが、これは皆さんの時給に換えて一度計算することをおすすめします。
個人にとって時間は関係ないように思えますが、DIYができるほどのスキルをお持ちならば、その時間で副業やバイトができるかもしれないからです。

具体的に計算をしてみましょう。
iPhone6等のフロントガラス修理を考えてみます。あなたの時給を2,000円とします。
交換パーツ代:8,000円
専用工具代:2,000円
修理前準備(バックアップ等):1時間 x 2,000円=2,000円
修理時間:2時間x2,000円=4,000円
――――――――――――――――――――――――――――
合計:16,000円

こんな感じになります。
非正規店で修理を依頼した場合はほぼ同じ額か安い額で修理が出来てしまいます。
昼休みに修理店にiPhoneを預けて会社で残業し、その間に修理が完了すれば軽度の修理なら残業代で修理代をまかなえるかもしれません。
一方で、自分で工具・パーツを購入して自分の時間で修理をした場合は、工具・パーツ・工賃への金銭的な埋め合わせ手段はありません。
もちろん、修理中のリスクもありますからフレキ等を断線させてしまったら、基盤交換≒本体交換のお金を自分で準備する必要が出てきます。

分解して自分で治すのが「趣味!」ということであれば何も言うことはないのですが、「安く済む」という視点だけで「自分で修理」を検討されている方は、リスクを含めたトータルコストを見た上で、割りに合うかの判断をおすすめします。

それでも、やってしまったら‥

「自分で修理」に失敗してしまったら、、、
Appleの保証は受けられませんし、修理を断られる可能性もあります。良くて本体交換です。
通常なら、ジャンクオークション行きですが、その前に非正規の修理店に相談するという手はあるでしょう。
非正規店はAppleの保証外だからといって相談に乗らないということはありませんし、あなたが傷つけたパーツの持ち合わせがあるかもしれません。

まとめ

個人的に興味があるのは人工知能を備えたロボットや自動運転車に対しても「DIY」というアプローチがあり得るのかどうかです。
ユーザーとの間で学習したデータは複雑になると思うので、データ移行はどのようにするのでしょうね?
「自分で修理」という行為自体は非難する類の話でもありませんし、それだけの意志とスキルを持っているのはむしろ凄いことかもしれません。
本記事が「修理も自分で」ということの本当の目的を、今一度確認することの一助になれば幸いです。


シルバーガレージではこちらの店舗でiPhone修理を行っています。

iPhone修理の際には是非お越しください!